私は2020年11月に転職をした。
従業員数数千人の大手電力会社の原子力発電所から数百人の再生エネルギー会社へ決死のダイブある。
記事:高卒がリクルートエージェントを使って転職を試みた結果!転職までの流れと提示年収・待遇を公開してみる
それから約半年経った。
転職直後の興奮も冷めたので、冷静に今の自分について客観的性を持って評価してみる。
転職して良かった事
年収が上がった
まずは前職の基本的な給料を見てみる。
- 転職前
- 基本給 月15万
- 職能給 月6万
- 僻地手当 月1万2千
- ボーナス 年間3.4ヵ月
こんな感じの金額が基本的にもらえるお金。
ちなみに高卒新卒の入社当時は基本給11万5千、職能給4万、合計15万5千円だった。参考までに。
内容についてちょっと説明する。
基本給と職能給ってのが分かれてるのは会社の人件費削減らしいね。ボーナスとか残業代ってのは基本的に基本給×割合だから基本給を下げることは会社的にメリットがある。
昇給は毎年ちょっと上がるのと、定期的にドンと上がる2種類があった。なので年収の上昇曲線というのは右肩上がりではなく、階段のようにカクカクしたものになる。
僻地手当ってのは発電所の田舎度によって上下する。私は原子力発電所しか経験してないので、他の僻地手当の額は知らないけど。
あとはここに残業代(時給1600円位?)と、作業手当が付けられる。
原子力発電所員の主な作業手当ってのは「管理区域手当」と呼ばれるもの。
放射線を浴びる可能性のない区域を「非管理区域」。逆に浴びる可能性のある区域を「管理区域」と呼ぶ。
そしてこの管理区域に入ると一回1000円貰えた。
ただ管理区域での作業は結構面倒だ。一旦防護服に着替えなきゃいけないし、持ち込んだものは放射線検査を行わないと管理区域から出せない(自分の体を含めて)。
いろいろ面倒だったけど、「1回1000円」というのは、若年層の給料に大きく影響する。管理区域で作業があった場合には積極的に手を挙げたのを覚えている。部署によってはほぼ毎日のように管理区域に入ったり、逆に全く入らない部署もある。
結果的に年収としては360万。残業代を入れると410万だった。
電力会社といえば「まったり高給」ってのを思い浮かべる人も多いと思うが、それは昭和の話。金額を見てもらえればわかる通り、全然高給じゃない。
ただ、基本的な出費ってのは下記の通りかなり安かったと思う。
- 寮費(8畳一間)4000円
- 暖房使い放題 3000円
- 水道代 0円?
- 電気 使った分だけ
- 駐車場代 0円?
- ネット 使った分だけ
特に暖房使い放題はとてもありがたかった。蓄熱式だったんだけど、冬自室が寒いと思ったことはない。
これが3000円というから驚きだ。
こんな感じで固定費が安かったからそんなに金欠になったりはしない。
食事については1食400円程度で定食を食べることができた。この食堂の利用料は給料天引きなので、最悪お金全部使いきっても、とりあえず生きながらえる事ができる。
続いて今の給料を見てみる。
- 転職後
- 基本給 月24万
- 住宅手当 月3万6千
- 寒冷地手当 月5千円
- 交通費 月2万
- 賞与 年間6.5ヵ月
前職の場合残業代無しで360万、残業代等込み込みでの年収は410万円程度だったが、それに比べて現在は基本給とボーナスだけで440万。
残業しなくても前職の給料を超えた。もうね、これだけでうれしい。
てかボーナス6か月ってすごいよね、最初ドン引きしたもん。
やっぱ国の方針として「火力全部潰して再生エネルギーにしましょう」ってのが動いてるからほんとこの業界景気がいいのよね。
あと住宅手当もうれしい。この会社は寮を持っておらず、近くの賃貸を借りると家賃補助を出してくれるタイプ。
今は5万円の4LDKに住んでいる。家賃補助を引くと1万6千円が自分の持ち出し金額となる。
前の会社では4千円で寮に住めていたので、家賃自体は上がってしまった。
しかし4LDKなので8畳1間と比べれば何でもできる、風呂もキッチンも部屋になかったあの頃よりも満足度は圧倒的に大きい。
まぁ暖房費だけは絶対に前のほうがよかったけど、、、、灯油ストーブはお金かかるねぇ
あと交通費だね、前の会社は専用バスが出てたんだけど、今は自家用車で通勤してる。
ただ、実際のガソリン代よりも5倍位多い、ありがてぇ。
予想年収としては残業代無しでも400万後半になりそう。転職してよかった。
ただ、今後の年収上昇曲線がどれくらいかわかんないから何とも言えないが、多分30代に入ったら前の会社の同期のほうが高くなりそうな気はしてる。
まぁ今のところは大満足って話だ。
残業が無くなって健康になった
前会社時代は残業が多かった。
仕事量は右肩上がりなのに人はどんどん減らされていく負のサイクルに陥っていた。
平均して月に30~40時間だった、自分としては多かったが原子力内では少ない方だったと思う。
ただ、残業代はしっかり出るもんで、当時は「残業代うめぇぇwww」って思ってた。結構な額になるもんね。
今思えば「残業しないと生活できない」って人が結構いたんじゃないかと思う。
福島の原発が吹っ飛んだ後は年収が下がったらしい(私は事故後入社だから知らんが。)
だから事故以前に住宅ローンを組んだ人とかはかわいそうだ。そういう人たちはもはや「残業を減らして帰ろう」という意識すら無いのかもしれない。
私はそんな状況で転職し、今は残業がほぼ無い。それにも関わらず、年収は上がった。
すると「残業ってクソだな」ってのを本当に痛感した。
やっぱり会社に居る時間っていうのは「人生の切り売り」と同義である。
「なんのために働くのか」を自分に問えば「自分の生活を楽しくするため」だ答える。
なのに残業ってのはそんな自分の生活を削ってるのだ。
残業後は自宅に帰り、飯食って風呂入って寝るしかない。
それが今となっては、自分の時間を多くとり趣味に勤しんでいる。とても充実感がある。
あと残業のデメリットとして忘れてはいけないのがストレスだ、このストレスを甘く見ている人は多い(当時の私を含めて)
私はニキビに悩んでいた。皮膚科で薬を貰って塗ると改善されるものの、効果は一時的だった。
洗顔料やら化粧水やらを変えたりしてみたが満足のいく効果は得られなかった。
こんなに悩んだ肌荒れだが、転職をしたら完全に治った。
これは残業が無くなったからだと確信している。
体のだるさも無くなり、上昇傾向だった体脂肪率も大きく下がった。
削っているのは自分の時間だけじゃなく、健康もだった。
仕事にやりがいを感じるようなった
前職の仕事と今の仕事の大きな違いは「結果が見える」点にある。
原子力発電所はめちゃくちゃ大きい組織である。
なのですべてを把握することなんて到底不可能。
なので細かく部署分けされており、さらにその部署の中でも役割がかなり細分化されていた。
部署を跨ぐと何やってるかなんて全然わかんない。
僕に至っては自分が何の役に立ってんのかもよくわからんかった。
自分の仕事に区切りをつけた段階で「で?これは何の役に立つの?」と聞かれても「上の人を納得させるため」とかそんなのしか出てこない。
発電所は発電するため施設なのに、自分の作業は発電に何も寄与していないように感じてしまった。
もちろん回り回って重要な仕事だというのはわかっているが、大局的な視点を持てない自分の未熟さも相まってやる気を失っていた。
それに比べて再生エネルギーは原子力発電所と比べて設備構成がとても単純である。
関係法令も少なく、本気出せば「すべてを把握できるかも」と思わせるボリュームしかないので、勉強が苦にならない。
また、設備メンテナンスという仕事の性質上、自分の作業は発電にダイレクトに影響する。僕が故障を治せば発電が再開する。これはとても楽しいことだった。
自分は「やりがい」という言葉が嫌いだ。会社が従業員を都合よく働かせるための詭弁に過ぎないと思っている。
ただ、現在のように残業がなくなり、給料が上がり、自分の作業の影響を身近に感じるこの状況で、僕は確かに「やりがい」を感じている。
こんな経験から、仕事へのやりがいっていうのは自分の私生活が満たされた上で生まれるものではと思う。
クソみたいな待遇で私生活を削られてたら仕事に対いて愛着なんて湧かないよね。
身分を隠さなくてよくなった
福島事故以降、原子力に対する視線てのは確実に冷たくなった。
「私は原子力発電所の職員です」
この自己紹介をするとき、それなりに緊張したものだ。相手が反原発派だったら面倒である。
同期や先輩は「全然気にしてない」という人も多いが、僕の場合、嫌な顔される経験が何度かあった。
なので「インフラ関係の仕事」とか「電気関係の仕事」という風に濁していた。
それが今では再生エネルギーという「地球環境にやさしい発電」という後ろ盾があるので、何の躊躇もなく身分を明かせるようになった。
まぁ、調べてみるとTwitterでは「風力反対!太陽光反対!」って言ってる団体もいるようだけども。
そつらのツイートさかのぼると危ないから原発はダメ、二酸化炭素出すから火力もだめ。山を切り崩すから水力もダメっていってる。
じゃぁもう電気使うなよ、、、
転職して悪かった事
英語が必要になった
入社してびっくりしたんだけども、再生エネルギーの設備ってほとんどが海外製である。
すると必然的にマニュアル類も英語になってくる。
更に海外エンジニアと一緒に仕事をする機会もあるらしい。絶望した。
私は中学生の頃に英語で躓き、それから苦手意識を持っている。
be動詞すら理解していない。
TOEICという英語能力テストがあるが、選択式であり、適当に回答しても確率的に200点は取れるというものだ。
そのテストを本気で真面目にやって170点だった。もうヤダ。
ただ、いつまでもヤダヤダしているわけにはいかない。
なんと昇格要件に英検3級が入っているのだ。
嫌でも克服するしかない、ガンバロ。。。。
ネームバリューが無くなった
こんな状況になっても「大手電力会社」という看板は強力だった。
ローンやクレカの審査は会社名を言っただけで一瞬で通る。
会社名を言えば知らない人はいないので、「あ~はいはいあの会社ね」という具合ですんなり理解してもらえる。
しかし今は確実に「え?何の会社?」と聞き返される。
先日車を購入した際には「ローンの審査ってこんなにかかるんだ」と驚いた。
こんな感じでネームバリューがなくなったことは少し寂しく感じる。
まとめ
こんな感じで転職後6か月レビューをまとめた。
メリットが圧倒的に多く、デメリットは正直些細なものだ。
やはり転職は正解だった、そう確信している。
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